元人事採用担当者が教える、転職活動、面接の心得

面接

採用面接、それは転職活動において大きく立ちはだかる壁。

初めて会う人に、自分の個人情報だけ公開しなければならず、値ぶみされるように思えてしまう。企業側の方が圧倒的有利なコミュニケーションに感じ、とにかく苦手な人、複雑な気持ちで挑む人も多いでしょう。

しかし、面接の場は、企業側にとっても候補者に自社を知ってもらい、魅力に感じてもらうアピールの場でもあります。完全に対等という気持ちで挑むのは難しいかもしれませんが、必要以上に緊張しすぎないでほしいですね。

この記事では、人事採用担当時代に多くの方々と面接でお会いした筆者の経験から、人事採用面接官としてどういったことを考え、どのような視点で中途採用の候補者の方にお話を聞いてきたのかをお伝えします。

あくまでも筆者個人の経験と採用担当としての中途採用時のスタンスなので、すべての面接官が同じ視点で面接をしているとは言えません。ただ、この記事を読んでいただき、ブラックボックスである採用側のいち意見・ポイントをぜひ参考にして面接対策を講じてみてください。

少しでも精神的な負担を減らして、面接にのぞんでいただければうれしいです。

採用面接はお見合いのようなもの

採用面接はどうも応募者が不利なように思えてしまい、緊張するものですよね。基本的には両者がお互いを少しでも理解しあう場です。当たり前のことですが、採用側、応募者側、どちらも「この人、この会社とは合わない」という結論を出すことができます。

あなただけが値ぶみされている、とプレッシャーだけを感じすぎるのではなく、あなたも企業のことをよく見る立場なのだと頭に置いて、固くなりすぎないようにしましょう。

だからといって、候補者がやたらと企業や面接官を値ぶみするような態度を取ることもよくありません。お見合いのように、面接担当者と候補者両方が、好意的な態度をベースに進められることが理想です。

候補者の人柄=社風や組織にフィットするか

採用担当として面接で候補者について最も知りたいことは、候補者のお人柄です。

どんなにスキルが高くて経験が豊富な人でも、人柄がその企業や配属予定の部署にフィットするかどうかを無視して採用すると、採用してからトラブルが起きる可能性が高くなり、企業側のリスクになってしまいます。

表面的に明るく朗らかで、いかにも陽キャな性格の人が有利に思われるかもしれません。もちろん、明るくハキハキと話をすることは相手に好印象を与えます。ただ、あまりにも無理なキャラづくりをするとかえって不自然に思われます。

募集ポジションによっては、表面的な明るさだけよりも、真面目さや落ち着き、おしゃべりすぎないことが重要なこともあります。細かくなくても明るさや行動力を評価されるポジションもあります。

また、中途採用では既にある組織の雰囲気やメンバーとの相性を考えることも多いです。短期的目線ではあるのですが、転職した人が「会社に慣れる」というのは、まず配属される部署に「慣れる」ことなので、採用する人と配属する組織のためには無視できません。

どのような仕事の経験をしているのか詳しく知りたい

次は、スキルと経験についての確認です。筆者が採用面接をする際には、職務経歴書をもとにかなり具体的に、可能な限り細かくお仕事の経験を話していただくようにしていました。

部署で一担当として〇〇業務をしていた、から掘り下げて、
・部署やプロジェクトの構成人数と、候補者を含めたそれぞれの役割
・どのくらいの仕事量をこなしていたのか(担当案件数/顧客数/サービス対象人数etc・・・)
・ある期間での具体的な仕事の進め方を聞きながらスピード感を確認
・職務経歴書に記載されている業務の細かい範囲
・営業の場合は売上目標達成のための中期的な動き方

こういったことをお聞きすると、実際のお仕事ぶりが職務経歴書で見るイメージ通りなのか、思っていたよりも厳しい状況でお仕事に取り組んでいたのか、はたまた詳しく聞いてみると実はそれほど中心的に仕事をしていなかった、意見を言うだけでほとんど手を動かしていなかった、、、といったリアルが見えてくることもあります。

中途採用は新卒採用と違い、これまでの経験・スキルを評価してご入社いただき活躍いただくので、この部分のお話を聞くことが一番重要なポイントです。

候補者の「売り」は何なのか

スキルや経験を聞いた後は、候補者が仕事上で得意にしていることや、他の人より自信を持っている強みについてお聞きします。これは、経験を積んでできるようになったことと、もともとその人が持っている資質の両方です。

筆者は採用面接で、候補者の武器と言える強みを見つけだすことを、かなり重要視していました。働く環境が変わっても、強みは高い確率で再現されると考えるからです。

ここでもなぜ得意なのか、強みだと思うのか。ご本人が思うだけなのか、それとも実際にその点が仕事にプラスの結果として現れたのかなど、根拠になる具体的な経験や成果をくわしく確認します。

また、候補者と話した印象とスキルや経験値を合わせて、この人はどこで勝負できる人なのか、話していることとの整合性がとれているかを見ます。

余談ですが、筆者の場合、中途採用面接ではどんな職種であっても、次の3つのいずれかに強みを期待できる人を特に評価していました。
・営業やマネジメント、チームワークなどにプラスとなる高いコミュニケーション力
・業務知識や事務処理能力などオペレーション経験の蓄積による確実な業務遂行、推進
・緻密で正確性が高く、数字に強い

転職で何を得たいと思っているのか

候補者が今回の転職で、本当は何を得たいと思っているのかを知ることはとても大切です。収入なのか、自由な時間なのか、キャリアアップなのか、、、その中で最も重要なことは何なのかをなんとか知りたいと思って話を聞きます。転職エージェントを通しての紹介であれば担当者に確認することもあります。

スキルや経験、人柄もとてもよい候補者だけれども、転職で求めていることが採用側の事情とどうしても合わない、ということは実際にあります。

そのまま無理やりごまかして採用しても、短期間で退職してしまったり、不満を持ちながら働くのでパフォーマンスが上がらないなど、企業にとっても本人にとっても不幸になってしまうので、この点もとても重要視していました。


筆者はこのように考えていました。ただし、企業はこの点を一応確認するものの、欠員補充など差し迫っている状況では、いい人ならばとにかく採用する、という判断をすることも多いのです。候補者としてはよく確認しておく方がよいでしょう。



以上、中途採用面接のポイントをまとめてみました。少しでも気楽にそして自信を持って面接にのぞめるよう、対策の一助にしてください。

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